9月 3
またも電スロネタ
今日のお題は「電スロ」です。
最近、「電スロ」をキーワードに検索されてこのサイトにたどり着いた方が多いようなので。
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そして、今までちゃんと電スロについて解説したことがないような気がするので、
今日は電スロについて深く?掘り下げてみたいと思います。
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そもそも、「電スロ」とは?
エンジンの吸入空気量を調整するため「弁」であるスロットルバルブは、以前のクルマはケーブル(もしくはシャフト)で開閉していました。
ドライバーの意志はアクセルペダルから物理的結合でスロットルへ伝えられていたのです。
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さて、このスロットルに開閉用のモーターを仕込み、エンジンECUからの信号で開閉するようにしたのが
「電子制御スロットル」略して「電スロ」です。
このシステムは「ドライブ バイ ワイヤー」とも呼ばれています。
ここで言う「ワイヤー」とはスロットル制御の配線のことで、電気的制御を行っていると言うことです。
この「ワイヤー」を「スロットルワイヤー」と混同して、ケーブル式スロットルのことをドライブバイワイヤーと勘違いしている人もいます。要注意。
アクセルペダルに設置されたセンサーがドライバーのペダル踏み込み量をエンジンECUに伝え、
ECUは車両の運転状態に応じてスロットル開度を計算して、信号をスロットルに送ります。
スロットル開度の計算は車種によって異なります。
多くの車両はスロットル開度用のマップを持ち、エンジン負荷やエンジン回転などによって開度を決定しています。
ここで運転特性の「味付け」が可能なのです。
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さて、なぜ「電スロ」について多くのみなさんが興味をもっているのか?
担当Aが思うには、おそらくその電スロに「気にくわない点」があるからではないか。
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電スロのメリットは多く、通常走行では有利な面も多いと思います。
燃費が良くなったり、運転がスムーズになったり、トラクションコントロールやオートクルーズ制御もスムーズです。
つまりは、誰が乗ってもある程度「上手に」運転できる、すばらしいシステムなのです。
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が、しかし!
運転が上手な人にはどうでしょう?
スポーツ走行時にはどうでしょう?
はっきり言って「大きなお世話」なのです。
自分の意志通りに操作したいのです。
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これは、良くある電スロ付き車の「スロットルとアクセル開度の関係グラフ」です。
アクセル開度が少ない領域ではなかなかスロットルが開かず、
50%を超えたあたりから「ぐん!」と開く感じです。
ペダルの踏み込み量が少ない領域ではスロットル開度を抑え気味にしないと、
必要以上にクルマが加速し、燃費が悪くなったり、走りがギクシャクしたりしますので、普通のクルマはこういう味付けになっているものが多いようです。
こういう特性の電スロは「レスポンスが悪い」とか、「パワーが無い」と感じられます。
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次のグラフはGRBのS#のスロットル特性の「イメージ」です。
やはりペダル踏み込み量が少ない領域はスロットル開度も少なめですが、
ハーフアクセル以降のスロットルの開き方は急激です。
そしてペダルをある程度踏み込むとスロットルは全開になります。
自分の意志よりもスロットルは開きますので「レスポンスがいい」とか「トルクがある」と「錯覚」します。
ここで「錯覚」といったのは、実際のエンジンのレスポンスやトルクは、電スロの特性では何ら変わらないからです。
電スロの設定で与えられた特性は、あくまでもドライバーに「そう感じさせる」だけであって、
実際に「速く」なっているわけではないのです。ドライバーの意志とは別にクルマが「勝手に速く走っている」といえばいいでしょうか。
この特性は体感レスポンス、トルクが良くなりますので「乗って楽しい」ということだけを考えれば悪くはないのですが、
重大な欠点があります。
「パーシャルスロットルが使いにくい」のと、「アクセルオフのタイムラグ」です。
アクセルをちょっと抜いてもスロットルは全開のまま。これは怖いですよ。
少しも減速しないし、むしろ加速したような錯覚すら覚えます。
さらにアクセルオフで少々のタイムラグがあると、即座にブレーキに踏み換えたときにマスターバックの効きが悪いので、
これまた怖い思いをします。
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続いてはあるクルマの「エコモード」的なスロットル特性です。
これは見てのとおりドライバーの意志はほぼ「無視」です。
とにかくスロットルを開けてくれません。
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電スロの制御が悪いのではなく、万人の希望に合わせるのが無理なので、
違和感や不満を感じる人が多いのはしょうがないと思います。
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電スロの特性についてはスロットルマップの変更で対応できるものもあります。
電スロだからとあきらめることはありません。
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最後に、電スロに関する誤解について。
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「スロットルコントローラを取り付けたら、アクセルをあまり踏まなくてもすいすいクルマが進む。燃費も良くなりそう!」
なりません。
あなたがアクセルを踏んでないだけで、クルマはスロットルを開けてます。
コントローラを取り付ける前にあなたがアクセルをグイグイ踏んでるのと変わりません。
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「電スロはモーターだからレスポンスが悪いのだ」
ちがいます。
スロットル開閉用のモーターの作動速度は、あなたがアクセルペダルを踏むスピードより速いです。
コンピューターがあえてタイムラグを与えているのです。
反応が良すぎるとギクシャクしますから。
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「ECUが最適な燃費や運転状態になるように電スロを制御してくれるんですよね」
してくれません。
ECUはあらかじめ用意された条件に合わせてスロットル開度を決定します。
そりゃ、なるべくスムーズになるように、燃費が良くなるように、各種データやマップは設定されていますが、
あなたがアクセルをグイグイ踏んでしまえばECUもスロットルを開けます。
全てはあなた次第です。
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「電スロが嫌だからワイヤー式にする!」
簡単にはできません。
最近のクルマで、A/TまたはセミA/T車の場合はあきらめた方がいいでしょう。
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今回お話しした内容と、グラフなどのデータは全ての車両に当てはまるわけではありませんのであしからず。
長くなってしまいました。最後までおつきあい頂いた方、ありがとうございます。
コメント(2)関連記事
2 Responses to “またも電スロネタ”
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恥ずかしながら電スロについて勉強になりました。
ありがとうございます。
最近ではどの車も個人では手を加えるのが
本当に難しくなりましたね。
いつもコメントありがとうございます。
電スロについてはまだまだ勉強しなくてはいけないと思っています。
今となってはエンジンチューニングの重要な1要素ですね。